スフェロマックプラズマの階段状エネルギー緩和過程

 導体容器内に閉じ込められたスフェロマックプラズマのエネルギー緩和過程を、3次元磁気流体シミュレーション手法を用いて解析した[1]。シミュレーションに用いた導体容器としては、大阪大学のCTCC-I装置をモデルに、軸比が0.6の扁平な回転楕円体形状のものとした。用いた数値手法として空間時間4次精度のRunge-Kutta-Gill法を、座標系としては円柱座標系を、電気抵抗分布として時間固定で系の中央で小さな値を持つ井戸型分布を採用した。初期条件は、二次元Grad-Shafranov方程式の解で与えられ、磁気軸上のq値を0.5より僅かに大きなキンク安定な配位となっている。

 図1に磁気軸上のq値及びトロイダルモード数n=1,2,3のフーリエ振幅の時間発展を示す。凹状の空間分布を持つ電気抵抗のために、トロイダル電流が磁気軸付近で急峻になっていく。この変化に伴い、磁気軸上のq値が減少していく。磁気軸上のq値が0.5を切ったところでn=2のヘリカルキンクモードが不安定となり、成長を始める。この不安定性は、磁束管をヘリカル状に変形するプラズマの運動を作り、電気抵抗の大きな周辺領域でエネルギー散逸を促進する。 この過程が第一緩和位相に対応する。

 磁束管に施されたヘリカル状の捻れは、その捻れの交点に、装置の中心軸に沿ったリコネクション電流を形成していく。この時間位相において、三日月状に変形された、n=2構造を持つ磁気島が非線形的に維持されている。リコネクション電流がある臨界値に近づくと、n=1モードが急激に成長することにより、磁気リコネクションが誘発される。この過程で、n=2磁場モードは消滅し、再び軸対称で安定なforce-free磁場配位が形成される。これが第二緩和位相にあたる。この階段状緩和過程で、ポロイダル成分からトロイダル成分への磁束変換が発生する(図2)。この変換過程には、磁束管のn=2ヘリカル状の捻れと、磁気軸状での磁気リコネクションが、連続して発生することにより、初めて可能となることが明らかとなった。


図1:磁気軸上でのq値(右縦軸)及びトロイダルモード数n=1,2,3のフーリエ振幅(左縦軸)の時間発展。

図2:トロイダル磁束とポロイダル磁束の時間発展。


参考文献
[1] R.Horiuchi, T.Sato, and M. Uchida, Phys. Fluids B 4, 672 (1992).

1992年3月