Last Modified on April 12, 2003.
相転移臨界状態での、
強磁性ハイゼンベルグ鎖の磁化の理論的研究

大学院時代高橋實教授(東大物性研)のもと、「磁性体の基本的モデルである強磁性ハイゼンベルグ鎖の磁化は、臨界温度でスピンの大きさに関わらず、磁場とサイズを変数とする普遍なスケーリング関数で書ける」ことを示した。

ハイゼンベルグモデルの厳密解法は、一次元スピン1/2 の場合のみ存在しBethe 仮設法により自由エネルギーを一連の積分方程式で表わされる。1980年代に自由エネルギー・帯磁率が数値的に求められた。しかし、磁化曲線は依然求められていなかった。1990年代に、一次元ハイゼンベルグ型相互作用の磁性体C13H16N3O4が発見され、ハイゼンベルグモデルが実験理論ともに注目を集めた。

我々は、同モデルの磁化曲線をスピン1/2、1、 3/2について数値計算で求め、未知であった磁化曲線を明らかにした。これらを比較し、臨界温度極限で、全てのスピンの磁化曲線は古典系に帰着する様子を明らかにした。さらに量子回転子モデルを用いて、帰着する磁化曲線を解析的に求めた。以上より、強磁性ハイゼンベルグ鎖の磁化曲線の全貌を明らかにした。


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