磁場中の半導体に温度勾配を与えると起電力が生じる(ネルンスト効果、図1右)。極低温では、キャリアーの平均自由行程が長くなり試料の大きさと同程度になるとバリスティックな伝導となり量子効果が支配的になる。この際、キャリアーのエネルギーバンドがランダウレベルに分かれ、量子化されるため、常温でのネルンスト効果とは違った振る舞いが、期待される。このような発想のもと、我々は端電流モデルを使い、ホール効果(下図左)と同様に輸送現象が量子化されることを、我々は予言し、量子ネルンスト効果と呼んだ。
この際、ネルンスト係数は下図右のようになることを示した。