自然科学研究機構 核融合科学研究所
ヘリカル研究部 基礎物理シミュレーション研究系

拡張電磁流体モデル

簡約化二流体モデルにおける流れをもつ平衡に対する有限ラーマー半径効果

 閉じ込め改善モードにおける磁場閉じ込めプラズマの定常状態が示す急峻な構造においては、巨視的な現象を表す理想電磁流体モデルでは無視されている微視的な効果が重要となることが考えられます。本研究では流体モデルを拡張し、複数の微視的効果を同時に取り込むことで実際のプラズマにより近い平衡状態を表すことを目的としています。
 図は、電磁流体モデルにおける流れをもつプラズマ平衡に対して、イオンと電子が異なる振る舞いを示すことによる二流体効果と、イオンが磁力線に巻きついて回転運動するときの回転半径という2つの微視的効果が加わったときの平衡方程式の数値解です。トーラス(ドーナツ)形状をしたプラズマの垂直断面において、(a) プラズマを閉じ込める磁場の構造、(b) 閉じ込められているプラズマの圧力の等高線、(c) イオンの流線を表わしています。プラズマの急峻な構造の生成には、強い流れが重要な役割を果たしていることが知られていますが、この流れによってプラズマの圧力分布が磁場構造とは異なる形状を示し、更に、イオンの流線も微視的な効果によって磁場構造と異なっています。このような従来用いられている静止したプラズマの電磁流体平衡とは異なる複雑な平衡状態が、漸近展開を用いた偏微分方程式の導出と、有限要素法を用いた数値解析によって得られました。



参考文献
A. Ito and N. Nakajima, AIP Conference Proceedings Vol. 1069, pp.121 (2008).



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