自然科学研究機構 核融合科学研究所
ヘリカル研究部 基礎物理シミュレーション研究系

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第15回学術奨励賞(プラズマ・核融合学会)受賞

宇佐見俊介助教が、プラズマ・核融合学会第15回学術奨励賞を受賞しました。
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  • 受賞日付: 2010年11月30日
  • 成果:
    「MHD-PIC連結手法を用いた磁気リコネクションの多階層シミュレーション」

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  • 内容:
    磁気リコネクション過程を階層横断現象として理解することをめざして、マクロとミクロの物理を同時にかつ自己無撞着に解く多階層シミュレーションモデルの開発を進めた。この多階層モデルは、領域分割法に基づいている。すなわち、シミュレーション領域をマクロ階層とミクロ階層に分け、異なる計算アルゴリズムを用いる手法が採用されている。具体的には、マクロ階層の物理はMHDシミュレーション、ミクロ階層は粒子シミュレーションのアルゴリズムによって計算される。また、2つの階層間には、互いのデータを交換するため、有限の幅を持ったインターフェイス領域が挿入される。この多階層モデルにおいて2つの階層が物理的に正しく連結されているか検証するため、まず、一様磁場中における線形アルヴェンの伝播がシミュレーションされた。マクロとミクロ階層を通して波はスムーズに伝播することが確かめられた。また、一様磁場中において、プラズマ自体が伝播するシミュレーションが行われた。その結果、マクロ階層からミクロ階層へ磁場を横切ってプラズマが流入されることが確認された。これらの結果を受けて、2009年には、ミクロ階層の中央において磁場の向きが反転する反平行磁場中において、マクロ階層からミクロ階層へプラズマを流入させることにより、ミクロ階層で磁気リコネクションを駆動する多階層シミュレーションに世界で初めて成功した。この結果を(単体の)粒子コードでシミュレーションされた結果と比較し、多階層モデル中で駆動された磁気リコネクションが物理的に正しい現象であることが確認された。


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