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- 受賞日付: 2012年11月30日
- 講演題目:
「タングステンナノ構造のマルチスケールシミュレーション」
- 内容:
タングステンの表面にヘリウムプラズマを照射すると、数十nmの太さの髭状ナノ構造(ファズ構造)が自発的に生えてくる。これは、核融合分野においてプラズマ対向材料としてのタングステン研究の中で偶然に発見された現象である。ソースとなる粒子を照査する"堆積現象"でもなく、照射によって形状を削る出す"切削現象"でもない。あくまで表面のタングステン原子が自発的にファズ構造を形成して伸びてくる。その科学的な面白さからも、現在は分野を超えて各種の応用へが検討されている。しかしながら、そのメカニズムは良くわかっておらず、我々は各種の理論シミュレーションを用いてこの現象の解明を目指している。まず、入射過程において侵入とスパッタリングの競争が起こっていることを二体散乱近似法によって明らかにし、次に拡散・凝集過程においてHeの凝集可能性を密度汎関数法によって見積った。最後に表面付近のバブルの破裂を分子動力学によって計算した。これらの総合的な議論から、Heだけがバブルを作ることができ、H,Ne,Arは200eV以下の低エネルギーでは作れないことを説明した。
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